ハザカイキ 徒然

ハザカイキ 新宿THEATER MILANO-Za  2024/4/11()18:00

 

映画のオープニングのよう。「ハザカイキ」の文字が激しい勢いでセット上に映し出されて幕は開いた。同時間同じ空間で展開される別々の場所での出来事。どこにでも居るような一人ひとりなのだが存在感が濃厚で瞬時に記憶に刷り込まれる。同じ時代を生きているから何気ないパートナーや友達などとのやりとりは生々しくて理由は分からないが目を背けたくなる。リアルに作り込んだセットのスピーディな展開が素晴らしい。エキストラやさらに照明の効果を駆使して都会の雑踏を表現していた。これだけ多くの人間が狭い空間に生息しているからこそこの種の孤独は恐怖だろう。こちらから見れば正義、あちらから見れば狂気。何が正しくて何が間違っているのか?絶対的正義を失った現代、「多様性」という体のいい言い逃れで自分の正義を見失っていないか?そんなことをまざまざと見せつけられるような舞台だった。

途中ふたつの仰天ポイントにすっかりやられてしまった。ひとつは実際危険なので具体的に書いておく。一幕の終わりに菅原が舞台上から客席に向かって唐突にカメラフラッシュを連続で焚くシーンがある。ちょうどセンターの席だったからなのか?これ実際眼に痛い。浴びたら暫く何も見えなくなったしこれは正直危ないと思う。章ちゃん!もし観に行く時には菅原が正面を見つめたら気をつけて目を伏せて!と本気で心配する。もうひとつは大ネタバレなので伏せておく。

 

役者の皆さんが素晴らしくてお芝居だということを忘れるくらいドキュメンタリーだった。恒松祐里さんは圧巻だった。風間杜夫さんは出てくるだけでドォーンッと効果音が鳴るくらいの存在感をお持ちの役者なのに、ほんとにほんとにお芝居が好きという少年のような氣があふれ出ていてその姿になぜか涙が滲んでしまった。2023THEATER MILANO-Za「少女都市からの呼び声」で安田章大さんとの共演、そして2024年同じ劇場で丸山隆平さんとの共演で身内の気持ち(スミマセン^^;)さとうほなみさんは丸山隆平さんとは「ヘドウィグ アンド アングリーインチ」でヘドウィグの彼氏役、「窮鼠はチーズの夢を見る」で大倉忠義さんの彼女役で共演。勝地涼さんはどーしても前髪クネ夫の印象が強すぎてそこから抜け出られないでいたのだが「関ジャニのあとはご自由に」で独創的な物語を創造し自身は自然体のお芝居で共演。こういう関係性、嬉しいです。(ハザカイキには関係ないけど咲妃みゆさんが「窮鼠はチーズの夢を見る」で大倉忠義さんの妻役、「少女都市からの呼び声」で安田章大さんの妹役というのも感慨深い)

丸山隆平さんは真正面から役に対峙しているのがありありと分かる。真面目な人。

「パラダイス」然り、天然お花畑な自分は自ら選んで観に行かない部類の芝居だが贔屓の人が演る舞台なら絶対観に行く。そして新しい世界と視野を手に入れる。感謝。

#ハザカイキ #丸山隆平