少女都市からの呼び声 徒然

     

少女都市からの呼び声 若衆公演 at ザ・スズナリ いや~オモシロカッタ!紫テント、MILANO-Zaとはまた違う  養老先生とインターンの演出に「これぞ若衆!」感満載。だってあのアクロバティックなムーヴメントは若衆にしかできない。動きは激しいけれど言葉はよく聞き取れる。難解な内容もこの鈍い頭でもようやく理解できた気がする。闇に舞う赤と緑の光と肉体に目を奪われてあっという間に板の上の世界に没入した。

2023年の3組の有沢とビンコの在り方としては最も明るいスズナリ版二條さん有沢と本間さんビンコは結婚間近の雰囲気が漂いリアルな人間味が匂う。感情が読み取りやすく自然に入ってきて理解しやすかった。その分いかにもアングラ的などこか芝居がかった猥雑な感じはしなかったとも言える。紫テント版大鶴さん有沢と水香さんビンコはどうしたって訳アリで昭和中頃のこもった空気の陰が感じられテントの世界に合っていた。対してMILANO-Za版細川さん有沢と小野さんビンコは「無い世界」よりも最も浮世的でよいはずなのに逆に無機的な印象があの広壮な空間に合っていた。三態の世界をそれぞれが確立していて面白い。
 
なぜか幼いかわいらしさを感じる柴野さん田口はそれに反して声が凛々しくてほれぼれした。雪子を探して旅する道中、暴風に激しくはためくコートの裾を自らの手でパタパタさせて表現する。これ安田さん田口でとても好きだった場面だが違うversionで観られて嬉しかった。
田口も有沢も舞台の中央でストンと腰を落とした独特の態勢で台詞を吐くのが特徴的。唐版歌舞伎の見得のようにこれを決める。同じ演目を何度も体験するとやっぱり歌舞伎の如くその瞬間をとらえて声を掛けたくなるからこっそり心の中で声を掛けて拍手する。「いよっ!柴野屋!」みたいにw 安田さん田口もしっかり決めてたね。テントでは六平さん田口が混沌とした世界を作り上げるのに拍車をかけてた。飄々とした元祖田口。歳の離れすぎた兄妹もその生い立ちを想像するとなおさら哀れみが増幅される。
藤田さんフランケ醜態が奈良弁で通していて田口もつられてしばらくうっかり和歌山弁になってたのには思わず( ´艸`)~♪フランケ奈良弁の前兆はMILANO-Za8月の乞食老人の指揮を執った時からかな?Dream House版は観てないのでもしかして大阪公演では最初からこれで通してたのかしら?衣装替えも数度、素敵なスタイリングだった✨衣装といえば子宮虫たちの制服がまた御洒落。デザインしがいがあるよね。そして今回の看護婦・フランケ助手は紅日さん。sadisticに美しいsuper-highheel姿に👏 全身黒づくめの妖艶な看護婦の満たされないパンティは…いままでオトナセクスィなのとタイガーセクスィを見てきたので今度はどんなセクスィなんだい?…!!!ロリセクスィとは♡
 
音もとても重要。スズナリ版の効果音はMILANO-Za版と同じ。開演前に流れていたのはロシアの曲(この時期になぜ?)とChoir。MILANO-Za版はMass曲のみだった気がする。この曲名が知りたくて知りたくて遠くに小さく流れる旋律に耳をそばだてていたけれど…(もしかするとこれ?"Bach: Mass in B minor | Thomanerchor and the Gewandhausorchester Leipzig "   https://youtu.be/vCg43vDsyxs?si=t-C0AZrpFDhA6WGk)ちなみに田口が雪子にそそのかされて首を絞めてしまう場面。そのクライマックスにMILANO-Za版で流れた曲は ”J.S. Bach: Mass in B Minor, BWV 232 / Kyrie - I. Kyrie eleison” https://youtu.be/NvAc_NUTOKg?list=TLPQMjExMDIwMjMYj1duLJULjw (こちらは確信あり)
 血みどろの壮絶な美しさと対極にある状況の滑稽さが同時に存在する場面でこれが流れるのは反則。虜にならざるをえない。変態かおまえさん。主よ、あわれみたまえ。
劇中歌のほぼすべての旋律は新たに作られたものか?とにかくMILANO-Za版とは異なっていたことは確か。連隊長の歌とOver&Over(Milano-za版 https://youtu.be/3_k9Lm6hVY8?si=Rj5BiEfjEqfqtfPy  とは別version )は旋律同じ。紫テント版は連隊長の歌は同じだった気がするけど断言できない。もういちど観て確かめたいよ~。だってあの時は会話の速さと急展開する場面についていくのに必死だった。涙の洪水に圧倒されていたら畳みかけるようにバーンッ!とテントの奥に夜の花園神社の借景が広がってた。妖しい夢だったよな。

        

1つの戯曲を3つの異なる演出と場とcompanyでこの短期間に体験できたことが素晴らしく楽しかった。アングラ観劇は6月唐組 花園神社 紅テント 『透明人間』 から始まり 『少女都市からの呼び声』3連続上演 6月新宿梁山泊 花園神社 紫テント (テント初上演)、7、8月 新宿 THEATER MILANO-Za 杮落し公演、10月新宿梁山泊 下北沢 ザ・スズナリ熱狂の日々を過ごさせてもらった。古典の楽しさとはこういうこと。いろいろな解釈、環境、演出、演者で創り上げられる古典は独特な魅力で惹きつけてくるからつかまったら厄介なんだよなぁ。ここに連れてきてくれた章ちゃん、ありがと。でも、あなた罪深いよw
嗚呼終わっちゃったんだなぁ(´;ω;`) 生の舞台は儚いから愛おしい。吊るされた廻り灯籠に雪子の面影を見ながら後ろ髪を引かれる想いで客席を立った。ザ・スズナリのロビーにGELATO ITALIANO FLORさんのお祝い花があって気持ちがふんわりした。東京にあったら絶対常連になる。MAREは魔法だから。
 
 
THEATER MILANO-Za版もまとめたい。『閃光ばなし』も『リボルバー 〜誰が【ゴッホ】を撃ち抜いたんだ?〜 』も。印象に残った脳内映像のカケラを記録しておきたい。